既存の設備を入れ替えずに「異常が起きたことだけ」を遠隔へ伝えたい——そんなときに使えるのが、設備がもともと備えている接点出力です。
今回は、接点出力とは何か、それを使って設備を遠隔監視するための基本構成と確認事項を整理します。
接点出力とは
接点出力とは、設備が自身の状態を外部へ知らせるために備えている、オン・オフの信号線です。
多くはリレーや半導体スイッチによる「ドライ接点(無電圧接点)」で、たとえば「異常が発生したら接点を閉じる(ON)」「正常な間は開いている(OFF)」といった動作をします。
数値データではなく単純なオン・オフのため、外部機器で受け取りやすいのが特徴です。設備の取扱説明書や仕様書に「警報出力」「異常接点」「無電圧接点出力」などと記載されている端子が、これにあたります。
なぜ接点出力が設備監視に使えるのか
遠隔監視というと、設備をネットワークにつなぐ大がかりな改修を想像しがちです。しかし既存設備の多くは、「インターネットにはつながらないが、異常信号(接点)は出せる」状態にあります。
この接点出力を外部機器で受け取り、通信網へ乗せてやれば、設備そのものを交換せずに「異常が起きたこと」を遠隔へ伝えられます。監視したい情報を必要な分だけ外へ取り出す、という考え方です。
まず確認すべきは、対象設備から「どんな接点信号を、どんな条件で取り出せるか」です。ここが分かれば、監視構成の大枠が決まります。遠隔監視システム全体の構成については、遠隔監視システムの仕組みでも詳しく解説しています。
接点出力を使った遠隔監視の基本構成
KMAXの遠隔監視ソリューションでは、接点出力を次のように扱います。
監視したい接点が1〜2点なら、2入力・2出力のI/Oを備えたホットライン端末で受けられます。
入力の状態変化を契機に、設定済みの通報先へ自動発信する構成に対応します。監視したい接点が1〜2点であれば、この端末単体で受けられます。
監視点数が多い場合は、複数の接点を集約できる機器を組み合わせます。
10点の接点入力と6点のリレー出力を持ち、設備の接点を検知して上位のホットライン端末へ渡す独立機器です。電話発信やDTMFの処理は、上位のホットライン端末が担当します。現行構成では、ホットライン端末1台に対しXIO-106を1台接続します。
入力はフォトカプラで電気的に絶縁され、設備側と監視機器側の回路を分けて信号を受けます。通信が途絶えた場合、XIO-106の出力はすべてOFFになるフェイルセーフが設計上の要件とされています。
通報だけでなく遠隔操作にも接点は使える
接点は「受け取る(入力)」だけでなく、「出す(出力)」方向にも使えます。
ホットライン端末やI/O HUBのリレー出力を使い、通話中のDTMF操作などをきっかけに、外部設備のリセットやゲート開放といった一次対応を遠隔から行う構成も可能です。
ただし遠隔操作できる範囲は、対象設備の仕様と安全条件、運用ルールによって変わります。監視と制御は分けて設計し、人身にかかわる設備では設備側の安全機構を維持します。
設計時に確認すべきこと
接点出力を監視に使うときは、案件ごとに次を確認します。
- 接点の方式(メイク接点/ブレーク接点、NO/NC)
- 接点の電圧・電流条件、無電圧接点かどうか
- 異常時に接点がON/OFFどちらになるか(動作論理)
- 信号がどれくらいの時間保持されるか
- 配線方法とケーブル長、絶縁の要否
- 1点の異常なのか、複数の異常を種類ごとに分けたいのか
「接点が出ていればどの設備でもつながる」とは限りません。上記を確認したうえで、入力側機器の仕様と適合するかを判断します。
通報先の設計もあわせて行う
接点を受け取れても、通報先が決まっていなければ運用になりません。
CML-200では、通報系統ごとに時刻・曜日・日付の条件を設定し、時間帯によって通報先を自動的に切り替えられます。
- 平日日中:保守担当
- 夜間・休日:当番窓口
入力を種類ごとに分けておけば、受け手が「どの異常の通報か」を区別できます。
なお、応答がない場合に次の番号へ順にかけ直す「ループコール」は、CML-200のI/O通報では現行仕様で対応していません。二次対応は運用ルールで補う前提で設計します。
まとめ|接点出力は「既存設備を活かす」遠隔監視の入り口
- 接点出力は、設備が異常などの状態を知らせるオン・オフ信号。数値ではないため外部機器で受け取りやすい
- 既存設備を交換せず、接点出力だけを外部へ取り出して遠隔監視につなげられる場合がある
- 1〜2点ならホットライン端末のI/O、多点ならI/O HUB「XIO-106」を組み合わせる
- 接点方式・電圧・動作論理・信号保持時間・配線条件を案件ごとに確認する
- 受信構成と同時に、通報先と二次対応の運用まで設計する
設備を入れ替えることではなく、「今ある接点」から遠隔監視を始める。
「この設備からどんな接点信号が取り出せるか分からない」段階でもご相談いただけます。設備の仕様と監視したい内容、通報先の運用を確認し、適した構成をご提案します。
KMAX